日本足の外科学会 50周年

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記念式典

2025年11月13日、軽井沢プリンスホテルにて、日本足の外科学会50周年記念式典が開催されました。

式典会場

2025年11月13日、紅葉の美しい秋の軽井沢プリンスホテルにて、日本足の外科学会50周年記念式典が開催されました。会場前には記念パネルや過去の学術集会のポスター、写真上映モニターが設置され、参加者の注目を集めました。会場には全国から350余名の会員が集い、和やかな雰囲気の中、式典が始まりました。

冒頭では、日本足の外科学会理事長 仁木久照先生による開会の辞が述べられ、続いて日本整形外科学会理事長 河野博隆先生(帝京大学医学部整形外科学講座)よりご祝辞を賜りました。

仁木久照先生
河野博隆先生

記念講演

青木治人先生の座長のもと、木下光雄先生には「私と足の外科」、高倉義典先生には「足の外科との52年間の格闘」と題してご講演いただきました。第1回足の外科研究会から参加されてきた両先生方のお話は、当時を知らない多くの参加者にとって、日本足の外科学会50年の歩みを振り返る貴重な機会となりました。また、長年の臨床経験と研究活動に基づくお言葉は、次世代の足の外科医にとって大きな道標となりました。

木下光雄先生
高倉義典先生

シンポジウム

山本晴康先生の座長により、世界の足の外科学に影響を与えた革新的な技術・診断法・治療法の開発に至るまでの発想と着眼点について6名の先生にご発表いただきました。

田中康仁先生は横倉法に着想を得て、荷重時足正面像に対するmapping法を考案されました。外反母趾、Lisfranc関節症、Jones骨折などの解析を行い、形態的特徴や新たな病態を明らかにされたことを述べられました。

原口直樹先生は膝・股関節を含む下肢全体のアライメント把握と術前後評価に有用なHip-to-calcaneus viewを考案されました。本法は足関節の局所評価だけでは見落とされがちな成績不良の原因の同定や治療方針の決定に有用であることを述べられました。

仁木久照先生は足の外科の治療効果判定に不可欠なツールとなっている日本足の外科学会 足部・足関節治療成績判定基準(JSSFスケール)と足部足関節評価質問票(SAFE-Q)の開発過程を紹介されました。膨大な時間と労力を経て世界標準となる質の高い評価法を確立するに至った経緯について述べられました。

寺本司先生は変形性膝関節症に対するtibial condylar valgus osteotomy(TCVO)から発想を得て、変形性足関節症に対するdistal tibial oblique osteotomy(DTOO)を開発された経緯を述べられました。脛骨遠位を斜めに骨切りして開大することで、関節面形態によるbony instabilityの改善を得る術式が発展したことを説明されました。

奥田龍三先生は外反母趾術後再発例と非再発例のX線像を比較し、術後に第1中足骨頭外側縁が円型の“round徴候”を示すことが再発の危険因子であることを解明されました。外反母趾矯正術の際には、第1中足骨回内の矯正が重要であることを提唱されました。

高尾昌人先生は長年にわたる臨床・基礎研究から、損傷された足関節外側靱帯を解剖学的に骨付着部に修復する方法が機能的に優れていることを示され、Lasso-loop法を中心に鏡視下修復術を開発されました。さらに、海外の足の外科医とAnkle Instability Groupを創設し、新たな治療法の開発に取り組まれてきたことを紹介されました。

各先生方が研究を開始された背景や、完成までのご努力を語られることで、若手研究者にとって大きな刺激と励みになるシンポジウムとなりました。

シンポジストの先生方

足の外科医座談会

座談会には、日本足の外科学会で活躍されている6名の医師が登壇しました。AIの活用、海外への発信、学会間の連携、多職種連携、女性参画を含む多様性、教育の重要性など、幅広い課題について意見が交わされました。副理事長の橋本健史先生と寺本篤史先生の進行のもと、活発なディスカッションが行われ、学会の発展に向けた熱意にあふれる場となりました。

座談会会場

50周年記念論文賞表彰式

足の外科領域におけるこれまでの学術的貢献を称え、50周年記念優秀論文賞5名および最多論文賞3名の表彰が行われました。また優秀論文賞特別賞として「JSSFスケールおよびSAFE-Q開発に関する6論文」が表彰され、高倉義典先生から仁木久照先生に表彰状が授与されました。最後に学会役員、各委員会委員長、登壇者、受賞者による記念撮影を行い、式典は盛況のうちに幕を閉じました。

特別賞受賞

祝賀会

式典終了後には、50周年記念祝賀会が開催されました。第50回日本足の外科学会学術集会会長 原口直樹先生のご挨拶に続き、韓国足の外科学会会長Jin Wha Chung先生よりご祝辞を賜りました。仁木久照先生の乾杯のご発声のもと、会場は華やかな雰囲気に包まれ、参加者は互いに50周年を祝いながら、これからの日本足の外科学会について語り合いました。会の途中には、海外の足の外科学会代表者から送られた祝福のビデオメッセージが上映され、国境を越えた絆の深さを実感しました。最後に第51回日本足の外科学会学術集会会長 吉村一朗先生が次回開催への抱負を述べられ、参加者は期待に胸を膨らませながら会場を後にしました。

仁木久照先生による乾杯のご発声