日本足の外科学会 The Japanese Society For Surgery Of The Foot

足のコラム

20足関節の伸展と屈曲

矢状面sagittal planeにおける足関節の運動方向の定義は、旧日整会関節可動域表示1)では伸展extension(背屈dorsiflexion)/屈曲flexion(底屈plantarflexion)と定義していた。しかしKapandji2)は伸展extension/屈曲flexionを反対方向に定義しており、特に屈曲flexionという用語は常に肢と体幹が近づく運動に用いられるので、底屈plantarflexionという用語は正しくないと記載している。

用語委員会でPubMedを用いankle, foot, flexion, extensionというキーワードで2008年までの過去の論文190編を調べた結果、背屈dorsiflexion/底屈plantarflexionと表記している論文が109編、伸展extension/屈曲flexionと表記している論文が20編、両者を採用している論文が5編、dorsal extension/plantar flexionと表記している論文が3編であった。なお、伸展extension/屈曲flexionと表記している論文はすべて伸展を底屈方向、屈曲を背屈方向に定義しており、日整会関節可動域表示1)のように伸展を背屈方向、屈曲を底屈方向として用いている論文は今回調べた論文の中には見当たらなかった。

そこで2022年4月の改訂では矢状面sagittal planeにおける運動を、混乱の見られる伸展extension/屈曲flexionは削除することとし、背屈dorsiflexion/底屈plantarflexionと定義することとした(図)。

1)
日本整形外科学会:評価基準・ガイドライン・マニュアル集, 4-68, 1996
2)
Kapandji IA:The Physiology of the Joints. Vol 2, 5th Ed, Churchill Livingstone, London, 1987
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