日本足の外科学会 The Japanese Society For Surgery Of The Foot

足のコラム

10果と顆

よく使用されるが、よく混同される語として、「果」と「顆」がある。英語は明確に分かれており、前者はmalleolus、後者はcondyleである。

「果」とは「丸い骨性突起」を指す言葉(ステッドマン医学大辞典)であるが、ラテン語のmalleusマッレウス(ハンマー、木槌)の縮小詞malleolusマッレオルス(小さいハンマー)が語源とされる。足関節の、いわゆる「くるぶし」を指し、lateral malleolusはexternalないしouter malleolus、medial malleolusはinternalないしinner malleolusともいう。日本語の「果」は、木の実という意味と、もともと仏語に由来する、成し遂げる、出来栄え、むくい、終わる(終わり)などの意味があるが、解剖学的な使用は前者に由来し、くるぶしの丸い膨らみを指し示すものと思われる。それに対し、「顆」とは「丸くて小さなもの」を指す言葉(広辞苑)であるが、「骨端にある丸い関節面」を指すとステッドマン医学大辞典に記載されている。ギリシャ語のコンデュロス(こぶし=MCP関節)に由来する。解剖学で外側顆lateral condyleと内側顆medial condyleと呼ばれる部位は、大腿骨と脛骨にある。一方、上腕骨の遠位部は上腕骨顆condyle of humerousと呼ばれるが、外側、内側を区別した言葉はなく、上腕骨滑車、上腕骨小頭、肘頭窩、鉤突窩、橈骨窩のすべてを含んだ言葉である。これに対し、上顆epicondyleは大腿骨とともに上腕骨にも内外側の区別がある。また顆はもう2つあって、後頭顆occipital condyleと下顎顆mandibular condyleである。また「踝(くるぶし)」という漢字も用いられることがあるが、解剖学的用語としては正しいとはいえない。

用語集へのご意見・コメントは E-mail:jssf-post@as.bunken.co.jp までお願いいたします。